2011年02月12日

養老保険や学資保険って年利で言うと何%なのか? エクセルのRATE関数で計算してみる

養老保険とか学資保険、年金保険みたいに貯蓄性がある保険では、その内容を説明するときに「返戻率」という数字が出てきます。10年とか20年の間に払い込む保険料の総額に対して、満期時にいくら受け取れるかを示した数字です。たとえば、トータルで300万円の保険料を払い込んで450万円の満期保険金を受け取れることができれば返戻率は150%(450÷300=1.5=150%)ということです。

しかし、銀行の預金など他の金融商品は「年利×%」の形式で表示されることが多いです。貯蓄性がある保険を他の金融商品と比較するとき、年利の形に直すことができると便利ですね。老後の資金をためるとき、養老保険にすべきか、別の手段を選ぶかを検討する材料となります。

保険料の払い込み期間が20年で返戻率が110%であれば、増えた部分が10%なので、「10%÷20=0.5%」でだいたいのイメージをつかむことができます。ところが、多くの金融商品は複利計算です。半年とか1年ごとに利息が元金に組み込まれます。何十年という長期にわたると利息に利息が付いて加速度的に増えていきます。この計算はけっこう面倒なのですが、エクセルを使うと簡単に計算ができてしまいます。

例として、アリコの養老保険で計算してみます(http://www.alico.co.jp/plan/other02/price.htm)。「保険金額:1000万円、払込期間:30歳から30年間」の条件では、毎月の保険料が2万4970円です。払い込む保険料の総額は898万9200円なので、返戻率は111.2%ですね。

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では、エクセルで利率を計算してみましょう。RATE関数を使います。RATE関数は次の書式になっています。期間や積立額などの数字をカッコの中に並べるだけで利率を計算できます。

=RATE(期間,定期支払額,現在価値,将来価値)

今回の例では、期間が「30×20」カ月、定期支払額が「-24970」円、現在価値は「0」円、将来価値(満期時の金額)は「10000000」です。定期支払額がマイナスになるのは、エクセルの関数において支出はマイナスで表記するのがルールになっているためです。

=RATE(30*12,-24970,0,10000000)*12

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カッコの中で指定する時間の単位はすべて統一するところがポイント。定期支払額の単位は「月」なので、期間も「月」で指定します。そうすると利率も月単位の月利になるので、年利に直すには「12」をかけなければなりません。

エクセルで上の式を入力してEnterキーを押すとすぐに結果が分かります。答えは「0.70%」です。なお、結果は小数で表示されるので、書式を変更する必要があります。

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養老保険には死亡保障も付いてきます。ライフネット生命で30歳の人が1000万円の生命保険に加入した場合、月額保険料は2558円です。積み立てにまわる部分がその分だけ少ないと考えると、式は次のように変わります。

=RATE(30*12,-24970+2558,0,10000000)*12

答えは「1.39%」と少し高くなりました。

この数字をどう評価するか。今は1.39%という数字が魅力的に見えますが、これから30年間もこのまま低金利が続くかどうか分かりません。貯蓄性のある保険に加入する場合は、このように年利になおして考えてみるとその価値を判断しやすいと思います。



2011年02月11日

フラット35Sは利用者にとって涙が出るほどありがたいけど、銀行にとっては民業圧迫?

先日、ダイヤモンド・オンラインに「メガバンクから消える「固定金利」」という記事が掲載されました(http://diamond.jp/articles/-/11031)。なんとメガバンクの住宅ローンでは、変動金利タイプが9割を超えている。固定金利の住宅ローンは1割を切っているというのはショッキングな数字ですね。

記事の主張はこの一文に現われています。

変動型への偏重は、住宅を売りたい販売業者、運用先を確保したいメガバンク、目先の返済額を低く抑えたい利用者──という三者の思惑が一致した帰結でもあった。

その裏には、「今後、金利上昇のリスクがあるのに変動金利の住宅ローンをすすめる販売業者や銀行はけしからんし、目先の利益につられて変動金利を選ぶ利用者に問題がある」という考えがすけて見えます。

「変動金利が9割」という数字は別のところでも見たことがあり、ダイヤモンド・オンラインの記事を読んだときもスルーしていました。しかし、楽天日記さんはブログでこの数字を別の角度から検証しています。住宅金融支援機構の調査によると、変動金利を選択する利用者は全体のせいぜい5割くらい。メガバンクに限れば変動金利が9割に達するかもしれないが、フラット35などを含めた全体で考えると変動金利の割合はもっと下がるというのです(http://fpdiary.blog23.fc2.com/blog-entry-145.html)。

また、日本経済新聞の今日の朝刊では、「住宅機構「フラット35」申し込み2.5倍 金利優遇で」という記事がのりました(http://s.nikkei.com/eXqluE)。2010年1月から「フラット35S」という金利優遇策が登場して、優良住宅については当初10年間の金利を1%引き下げるというもの。なんと金利負担が重いはずの当初10年が年1%台という驚きの低金利で借りられます。

記事の中では、大手銀行から「市場金利からかけ離れており、民業圧迫だ」とこのフラット35を批判する声が出ているとのこと。確かに民間の銀行だとこんな金利で貸し出すのは到底不可能でしょう。当然、固定金利を選択したい利用者はフラット35にすべて流れてしまい、銀行は変動金利の住宅ローンを売っていかざるをえないはず。

私も5~6年前に住宅ローンを借りましたが、そのころは銀行の固定金利ローンもフラット35も利用者から見たおトク度では拮抗していました。金利だけを見るとややフラット35の方が低いのですが、フラット35は団体信用生命保険の保険料が外枠になっているので、実際の負担では両者に違いはありません。結局、私は某メガバンクから借りることにしました。

そういう立場から見ると、フラット35Sの「当初10年間は1%優遇と」いう制度はめちゃくちゃうらやましいですよ。いくら景気刺激策とは言っても「やりすぎ」の感があります。銀行が「民業圧迫」と怒る気持ちも分からなくはありません。だから、「メガバンクの住宅ローンで変動金利が9割を超える」という数字だけを見て、銀行の貸し出し姿勢を批判するのは違和感がありますし、利用者の大多数は目先の返済額の安さだけに注目していると見るのも現実に即していないと思います。

(追記)
すみません。名前間違えてました。楽天日記さんじゃなくって、楽天家業さんです。楽天日記は楽天家業さんのブログのタイトルです。



2011年02月10日

10年ぶりに新聞をとることにしたけど、新聞広告で目にするのは怪しげな金融商品ばかり(笑)

実は今まで10年くらい新聞をとっていませんでした。ライターとして新聞社(および新聞社系列の出版社)から仕事をもらっていたにもかかわらず…。しかし、ファイナンシャルプランナーとして仕事を始めることから、「日経くらい読んでおいたほうがいいかな」と今年から新聞をとりはじめました。

久しぶりに毎朝新聞を読むようになってびっくりしたのが、記事ではなく、広告でした。なんとまあ、いろんな金融商品の広告があることか。それも外面はきれいにとりつくろってあるけれど、リスクがかなり高そうなものばかりです。「みんな、こんな紙面を見て、金融商品を選んでいるんだ」と勉強になりました。

たとえば、今日の朝刊にあった某銀行の仕組預金(http://www.aozorabank.co.jp/kojin/products/saving/shikumi/excellent/efv/)。10年間の定期預金なのですが、金利が少しずつ上がっていきます。最初は年0.70%で10年目は年1.20%と今としては高めの金利ですね。

しかし、途中解約すると元本割れする可能性があります。もしインフレで金利が急上昇しても途中で解約はしにくい。たとえ数年後に年5%なんて金利になったとしても現在の低い金利で固定されています。しかも4年目以降は銀行側が一方的に繰り上げで満期にできるという特約付きです。デフレで低金利が続いたとき、銀行としては高い金利を払うのが不利になるので一方的に解約できます。

「満期日繰上げ特約付き定期預金」というもので、ミドルリターン・ハイリスクの金融商品です(いやローリターン・ハイリスクかも)。じっくり考えれば銀行ばかりが有利で、預け入れる側は圧倒的に不利なことが分かるはず。でも、今の低金利では年0.70~1.20%という数字が魅力的に見えるかもしれません。

ちなみに今買える10年新発国債は年1.20%です。某銀行の仕組預金は当初年0.70%なので、これなら国債を買った方がずっとましですよね。まあ、今は「国債バブル」と言われている状態なので、利率が低い今の国債を買うのは賢い選択とは思えません。



2011年02月09日

医療保険不要論。保険料を貯金に回すなら、その分は別に積み立てておく

「医療保険は不要だ!」という考え方があります。

日本は公的な健康保険が充実していて、医療費の自己負担は3割(高齢者だと1割のことも)。さらに高額医療費制度があって、たとえ何百万円もの医療費がかかったとしても、実際に負担する額は最大でも月10万円前後。所得や年齢によって違ってくるので、詳しくは社会保険庁のこちらのページを見てください(http://www.sia.go.jp/seido/iryo/kyufu/kyufu06.htm)。

また、民間の医療保険の内容をじっくり見てみると、ほとんどは入院したときしか保険金が支払われません。保険金は1日あたり5000円とか10000円と決まっていますが、支払われる日数は60日とか120日と上限があります。他にもいろんな条件が付いているので、生活に余裕がある人なら「民間の医療保険に入るより、その分だけ貯金しておいた方がいい」と考えることもできます。

これが医療保険不要論なのですが、実際のところ、そう割り切れるものなのか。元気なときはそういう計算が成り立つかもしれないけれど、大きな病気で出費がかさみそうなときは「やっぱり医療保険に入っておけばよかった」と後悔するかもしれません。

たとえば、ガンになって治療に1カ月の入院が必要になったとします。特別な治療を受けない限り、負担すべき医療費は月10万円くらいですが、それ以外にもけっこう費用がかかったりします。差額ベッド代が発生することもあるし、病院が離れたところにあれば家族が見舞いにいくときの交通費が無視できない額になります。なんだかんだと数十万円という額になってしまいます。

もちろん貯金がある家庭なら十分に支払える額かもしれませんが、ガンの場合は治療がいつまで続くか分からない。もしかしたら、これから何年も闘病生活が続くかもしれません。そうなると、「個室に移りたいけどあきらめよう」「ヘルパーを頼みたいけどあきらめよう」みたいな無理が出てくる可能性があります。貯蓄を取り崩すのって意外に大きなパワーがいるんですよね。そんなときでも、もし医療保険に入っていたら、保険金は思いがけないボーナスみたいなもので、気兼ねすることなく使ってしまえます。

医療保険はいらないと割り切って貯蓄に回すのもいいと思いますが、その場合は前もって「これは万が一のときに医療費に回す分」と別枠にしておいた方が良さそうです。実際に別に積み立てなくてもかまわないので、「貯金の中でいくらまでは無条件に医療費として使う」と決めておくのです。



2011年02月08日

ネットに出まわる怪しげな医療情報にまどわされるな!

日本人男性の場合、2人に1人は一生のうちに一度はガンと診断されるという数字があります。そして、3人に1人はガンで亡くなります。しかし、ガンは「不治の病」というイメージがあって、ガンと告知されると病院の治療だけでなく、「他にももっといい治療があるんじゃないか」と探し回る方が多いようです。

私も身内がガンと診断されて、図書館でガンの本をいっぱい借りてきたり、ネットでガンの情報を集めたりしました。でも、ガンにまつわる情報はまさに「玉石混淆」でした。特にネットでは、どこの誰が書いたのか分からないようないい加減な情報が多く、しかもよく見るとフコイダンとかアガリクスとか効果が不明なものを販売するサイトにリンクされています。ガンを直したいとワラにもすがる気持ちを悪用して商売をしているんじゃないかと疑いたくなりますね。

ネット上の医療情報を利用するときに留意したいことをまとめたページを見つけました(http://www.jima.or.jp/userguide1.html)。その見出しだけをまとめてみると…

  1. 情報提供の主体が明確なサイトの情報を利用する
  2. 営利性のない情報を利用する
  3. 客観的な裏付けがある科学的な情報を利用する
  4. 公共の医療機関、公的研究機関により提供される医療情報を主に利用する
  5. 常に新しい情報を利用する
  6. 複数の情報源を比較検討する
  7. 情報の利用は自己責任が原則
  8. 疑問があれば、専門家のアドバイスを求める
  9. 情報利用の結果を冷静に評価する
  10. トラブルに遭った時は、専門家に相談する

上記サイトでは各項目についてもっと詳しく説明があるので、ぜひご覧ください。くれぐれもネット上のあやふやな情報に振り回されて、道を誤らないように注意したいものです。

ガンの場合、まず最初に参照したいのが、日本癌治療学会の「がん診療ガイドライン」です(http://www.jsco-cpg.jp/)。どんな医者もこのガイドラインを参考にしているはず。医者向けの情報なのでちょっと難しいですが、ここで示されている治療法を出発点として考えていくのがいいと思います。ネットの情報に限らず、人にすすめられた治療法についても、ガイドラインで標準とされた治療と比較して、どういうメリットとデメリットがあるのかを列挙していけば比較的正確に判断ができるように思います。



2011年02月07日

生まれてから今日で何日目になるかを簡単に計算する方法

自分がこの世に生まれ落ちてから、今日が何日目になるのか意識したことはありますか? だいたいの数字は分かりますね。30歳なら「30×356=10680」ですから、10680日とちょっとということです。しかし、エクセルを使えば瞬時に正確な日数を割り出せます。

まずは左上のセルに「=today()」と入れましょう。そしてEnterキーを押すと、今日の日付に変わります。

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その下のセルに自分の誕生日を入れます。「1965年4月23日」であれば「1965/4/23」という形式で入力してください。

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その下のセルに「=a1-a2+1」と入力します。半角文字で入れてください。

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最後にEnterキーを押せば、生まれてからの日数が求められます。今回の例では16727日ということです。

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生まれてから今日まで1万回以上も寝て起きてを繰り返してきたんですね。これから自分が生を終えるまで果たして何日あるんだろうか。一日一日を大事に生きていきたいと思います。

蛇足ですが、エクセルは日付を内部的にシリアル値(1900年1月1日からの通算日数)で管理しています。ですから日付の足し算や引き算が簡単にできるわけです。今日の日付から誕生日を引いて、1を加えれば生まれてからの日数が分かります。1を加えるのは、生まれた日を1日目と数えるからです。

これを応用すれば、「生まれてから1万日目が何年何月何日か」を計算することもできます。みなさん誕生日は盛大にお祝いしますが、1万日目とか2万日目という区切りは知らないまま過ごしていますよね。大事な人の記念日をエクセルで計算して、サプライズでお祝いしてあげたりしてはどうでしょうか。



2011年02月06日

住宅ローンは変動金利と固定金利のどちらがオトク?と悩める人は幸せだと思います

住宅ローンは「変動金利」と「固定金利」のどちらがいいのか。総支払額で考えるなら、どちらが良いかは完済したときに初めて分かることです。「借りる前に優劣を決めるのは不可能」という点では丁半賭博と同じです。しかし、ファイナンシャルプランナーとして相談を受けたときは、どちらがいいかをアドバイスしなければなりません。

まずは、フラット35など固定金利の住宅ローンで希望する物件を手に入れられるか。ここから話はスタートします。今後、現在の水準よりも金利が大きく下がることはあり得ません。ゼロに近づくことはあってもマイナスになることはないわけですから。現在の安い固定金利でも返済がきついなら、それは身の丈に合っていない買い物です。もっと安い物件を探すか、頭金をためて借入額を減らしてください。

「変動の安い金利だったら借りられる」というのは、きわめて危険な賭けです。今のところ変動金利の住宅ローンが年1%を下回るような大バーゲン状態であり、これから上がることはあっても下がることは考えにくい。週刊ダイヤモンドの記事によると9割以上は変動金利を選んでいるとか(http://diamond.jp/articles/-/11031)。「どちらがオトクか」で変動金利を選択するならいいんですけど、「変動じゃないと返せない」という理由で変動を選んでいるとしたら大変です。

ギリギリでなんとか返済できるという水準であれば、迷わずに固定金利を選ぶことをおすすめします。ギリギリということは、少しでもバランスが崩れると返済不能におちいるリスクがあるということです。「返済がとどこおって、せっかく買った家を手放した上に借金だけが残る」という最悪のシナリオだけは避けなければなりません。短期的な返済額の低さに惑わされてはいけません。

固定金利の住宅ローンを組んでも余裕があって、繰り上げ返済もできそうだという見通しがある人なら、「固定金利と変動金利のどちらがオトクか」という問いが成り立ちます。余裕がある人なら固定金利と変動金利のどちらを選んでもかまいません。とにかくリスクを避けたいという方なら固定を選べばいいでしょう。しかし、あえて変動金利を選ぶという選択も魅力的です。

返済当初は返済額に占める利息の割合が高いものですが、現在の年1%という低い金利だと元金に回る部分が多く、最初の数年で借入残高を大きく減らせます。以下の表は3000万円の35年ローンで、変動が年1%、固定が年3%と仮定したときの数字です。変動の方が返済額が3万円も少ないにもかかわらず、元金に充当される額は2万円近くも多いのです。わずか2%の違いにもかかわらず、これほどの差が出てくるのです。毎月の返済額が少ないということは、それだけ繰り上げ返済にまわす原資を貯めることが可能になります。

  変動 固定
金利 年1% 年3%
返済額 月84,686円 月115,455円
(初回の利息) 25,000円 75,000円
(初回の元金) 59,686円 40,455円

これから何年か現在と同じ低い金利が続いたとします。その間に変動の安い金利で元金を大きく減らすことができれば、将来的に金利が上昇したとしても負担増は最小限におさえられます。利息は元金の大きさによって変わってくるので、元金が減っていれば利息も小さくなるからです。

繰り返しになりますが、固定と変動のどちらがオトクだったが分かるのは住宅ローンを完済したときです。どちらを選んでも勝率は五分五分だと思います。こういう勝負ができるのもある程度の余裕がある人だけ。たとえ賭けに負けても破綻することはないわけですから。余裕がない人は負けた時点で人生が狂ってしまうので、迷わずに固定金利を選ぶことをおすすめします。