2011年01月15日

リターンの裏には必ずリスクがある。利回りの高さにまどわされてはいけない

昨日の日経新聞の一面に「個人マネー、利回り重視 10年の投信買い越し倍増」という記事がありました。年10%以上の分配金を出す投資信託もあって、こうした投資信託を個人で購入する人が増えているようです。

いや、金融機関が利回りの高さを前面に出して売りまくっている、という表現の方が正しいかもしれません。実際に私のところにも「定期預金の満期がきたので銀行に行ったら、ブラジルの何とかをすすめられた」みたいな相談が来ていました。

定期預金でも年1%に満たない利息しかつかない現在、年10%もの分配金を出す金融商品はすごく魅力的に見えます。それ以外にも、年3%とか5%もの利息を付ける外貨預金はすごくおトクに思えます。

でも、ローリスク・ハイリターンの金融商品はけっして存在しない、という大原則を忘れてはいけません。リターンが大きいということは、それだけ損をする可能性も大きいのです。もしリスクなしで大もうけできる金融商品があったら、みんなそれを買ってますよ。利回りが高い商品があったら、何か裏があると考えてみるべきです。

元本を取り崩して高い分配金を払っていることもある

実際の商品で見てみましょう。分配金の高さで有名な投資信託に「グローバル・ソブリン・オープン」があります。略して「グロソブ」と呼ばれています。グロソブの直近1年の分配金利回りは7.8%です。詳しいデータはモーニングスターのこちらで見られます。

でも、グロソブの基準価額を見てみると、1年前(2010年1月15日)は6,314円だったのに対し、現在の数字(2011年1月13日)は5,312円に下がっています。約15%の下落です。どういうことかと言えば、元本をとりくずして分配金にあてているわけです。トータルで見れば、だいたい10%くらいのマイナスになります。

グロソブの基準価額の推移もモーニングスターのサイトで見られます(http://www.morningstar.co.jp/FundData/Chart.do?fnc=1997121801)。標準設定では過去1年間の推移を見られますが、期間を選ぶと過去10年間の推移を見ることもできます。

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10年間でずいぶん下がっていますが、これはファンドマネージャーの運用が下手なわけではなく、分配金を出し続けているためです。モーニングスターのチャートで「分配金込み(受取)」にチェックを付けると、元本と分配金を合わせたらプラスにはなっていることが分かります(下のグラフで黒い細線です)。まあ、けっして損をしているわけではないけれど、利回りの数字から期待する結果からするとずいぶん低い数字です。

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もし年7.8%の定期預金があったとすれば、100万円を10年間預けておけば212万円になっています(1年複利)。グロソブの場合、10年間持ち続けても20%強しか増えていません。老後に備えて資産運用しようという人におすすめできる商品ではありません。どちらかと言えば、リタイアした人が資産を取り崩しながら毎月の生活費に充当するような商品でしょう。その場合でも、もっと効率的で安全な運用方法が別にありそうです。



2011年01月14日

住宅ローンで総返済額ばかりに注目するのは危険。返済期間を無理に短くする必要はない

住宅ローンの返済期間を短くすると、利息の負担が減ってトータルの返済額は少なくなります。たとえば、こちらのR25の記事に試算が載っています。

しかし、トータルの返済額ばかりを強調するのも問題があるのではないかと思います。住宅ローンの最大のリスクは「何らかのトラブルで返済不能におちいること」です。総返済額を減らそうと期間を短縮すれば、月々の返済額はどうしても増えてしまう。現在では返済可能な額であっても、いきなり会社がつぶれるかもしれないし、給料ががくんとへるかもしれないし、病気で働けなくなるかもしれない。それでも、これから20年、30年と休みなく返済を続けなければなりません。

もちろん、返済が難しくなったときは、金融機関に相談すれば、元金の返済を待ってもらうとか、借入の条件を見直してもらうとか、方法がないわけではありません。でも、金融機関がそれを受けてくれるかどうかは分からないし、受けてくれるにしても交渉についやす負担は大きいはず。

むしろ総返済額が大きくなったとしても、35年の限度いっぱいで借り入れをして、月々の返済額を小さくするのが安全だと思います。そして、返済額が減った分はけっして消費に回すのではなく、繰上返済用の原資として別にとっておきます。そして定期的に繰上返済で借入残高を減らしていけば、結果としては総返済額は少なくてすみます

最近は繰上返済の手数料を無料にする金融機関も増えています。私も某メガバンクで住宅ローンをかかえていますが、ネットバンキングでいつでも無料で繰上返済ができるので、余裕ができたときはこまめに繰上返済をしています。また、みずほ銀行の「返済額増額指定サービス」のように、指定した金額を自動的に繰上返済するサービスもあります。

なお、繰上返済をするときも返済期間を短縮するのではなく、月々の返済額を軽減する方式を選ぶのが安全だと思います。何らかの理由で返済条件を変更するとき、返済期間を短くするのは簡単ですが、反対にのばしてもらうのは大変です。

当然のことですが、これはあくまで一般論です。共働きで収入が安定していて健康にも問題がなければ、返済期間を最初から短く設定してもいいでしょうし、子育てが終わって大きな支出がなければ繰上返済で返済期間を短くしてもいいでしょう。何が最適解であるかは人それぞれ違っています。

実は私も住宅ローンで失敗しました

住宅ローンでは「おトク」を追求するよりも、「安心」を最優先するべきだと思います。実は、私も住宅ローンの返済にはかなり悩まされました。建売住宅を購入して住宅ローンを組んだのはファイナンシャルプランナーになる前のこと。中途半端に住宅ローンの知識があったので、「返済期間を短くして元金均等返済を選ぶと総返済額は小さくなる」と、かなり冒険的なローンを組みました。エクセルで何度もシミュレーションをしながら、返済可能な範囲内で総返済額がもっとも小さくなるようにプランを作ったのです。

最初のプランでは、元金均等返済なので何年かがんばれば月々の返済額が減って負担も小さくなっていくはずだったのに、ご存じの通り、出版不況で仕事がどんどん減っていきます(ファイナンシャルプランナーの前にはフリーライターをしておりました)。返済不能になることはありませんでしたが、一時期は不安で仕事が手に付かなくなることもありました。幸いにも仕事がもちなおして繰上返済ができたおかげで、今では比較的無理なく返せるレベルまで月々の返済額を減らしました。

今から思えばバカな選択をしたものです。もし住宅ローンのシミュレーションをしていたときに戻れるなら、そのときの自分に対して「月々の返済額をなるべくおさえて、浮いたお金で繰上返済しろ。そうすれば返済のことで寝られなくなることもないし、総返済額も低くおさえられるぞ」とアドバイスしたいですね。



2011年01月13日

花粉症のクスリは何カ月分もまとめて処方してもらえば時間もお金も節約できる

花粉症の人には憂鬱な季節がやってきます。去年の猛暑のせいで、今年はスギ花粉の飛ぶ量が多くなりそうです。「花粉症のクスリを飲み始めるのは花粉が飛び始める2週間前」と言われています。2月に入ると花粉が飛び始めるので、そろそろ耳鼻科に行った方がいいですね。妻は昨日行ってきたようですが、まだこの時期ならすいています。

さて、花粉症のクスリですが、何も言わないと2週間分しか出してくれません。5月の連休くらいまで花粉は飛び続けるので、何度もクスリをもらいにいくのは面倒なもの。こんでいて待たされるだけでなく、診療費もかさんでしまいます。

クスリを2週間しか出さないのは、厚生労働省が出している規則(保健医療機関および保険医療法担当規則)で、投薬は「一回一四日分を限度として投与する」と定められていたためです。しかし、この14日分という制限は今では緩和されていて、適用されるのは一部のクスリだけです(新薬や向精神薬など)。

だから、「自分には花粉症のこのクスリが合っている」と分かっているなら、3カ月分くらいをまとめて処方してもらうようにお願いしましょう。時間もお金も節約できます。どのクスリが自分に合うか分からないときは、とりあえず2週間分をもらってきて、効果があることを確認してからまとめて処方してもらうといいんじゃないでしょうか。今回、妻はまとめて4カ月分(連休が終わるまで)もらってきたようです。

なお、医療機関によっては、クスリをまとめて出すのをしぶることがあるようです。以前、3カ月分の処方箋を薬局に持って行ったら、薬剤師さんが「あの先生がよく3カ月分も出してくれましたね」と言われたことがあります。

ちなみに私は、昨年夏から「減感作療法」の注射を打っています。スギのエキスを定期的に注射することでスギ花粉に反応しないようにするという治療です。治療を始めてから初めてのシーズンなので、本当に効果があるのか興味津々です。



2011年01月12日

資産運用で元本保証の銀行預金に頼るのが危険な理由とは

老後に向けて資産運用をする場合、「いちばん安全なのは元本保証の銀行預金だろう」と考える人が多いようです。確かに株など他の運用手段では元本割のリスクがあるために、老後の備えには向かないように思えます。

しかし、銀行預金ではインフレによって実質的な価値が減ってしまうおそれがあります。確かに元本保証なので額面は減らないかもしれませんが、購買力という点で見ると目減りするリスクがあります。

下のグラフは過去50年の物価上昇率と金利を表しています。赤い線が物価上昇率(消費者物価指数の前年比)、青い線が金利(公定歩合)です。縦軸はパーセント。赤が青を上回っているところは、金利以上に物価が上昇していることを表します。要するに預金が目減りしているということです。

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バブル崩壊以降は超低金利の時代が続いています。しかし、物価がほとんど上昇していないどころか、デフレで物価が下がっているために、実質金利で見るとけっして低くはありません。ここ10年くらいを考えると、何も考えずに銀行預金をしておくのが、意外に賢い資産運用だったと言えます。

でも、こんな状態がずっと続く保証はありません。注目して欲しいのは1970年代です。青の金利よりも赤の物価上昇率の方がずっと上を走っています。1970年から10年間の間に物価は約2.4倍も上昇しました。一方、銀行に預金しておいた場合は約1.8倍にしか増えません(預金の金利が公定歩合だと仮定。普通預金の金利は公定歩合よりも低いです)。

国際分散投資(国内外の株や債券などに幅広く投資する)の目標は、物価上昇率に負けない運用をすることです。けっして資産を倍増させて、遊んで暮らそうという目的ではありません。短期的には元本割れする危険がありますが、長期的には物価上昇率を上回るリターンを期待できます。

これからもデフレが続くか、一転してインフレになるかは分かりません。国債の残高が増え続けている現状を見ると、今後はインフレになる可能性の方が高いように思えます。銀行預金はデフレには強いですが、インフレでは資産が目減りします。元本保証の銀行預金に頼るよりも、元本割れする危険はあっても長期ではリターンを期待できる国際分散投資の方がリスクは低いと言えます。もし一時的に元本割れすることがあるとしても、それは長期のリターンを得るためのコストだと割り切るべきです。



2011年01月11日

株アレルギーを克服しよう。銀行預金も年金も株で運用されている

貯金をふやす方法は3つあります。

  1. 支出を減らす。節約した分を貯蓄する。
  2. 収入を増やす。余裕ができた分で貯蓄する。
  3. 現在の貯金を育てる。うまく運用して貯蓄を殖やす。

中高年の場合、収入を増やすのは難しく、支出を減らすにも限界があります。今持っている蓄えをなんとかして増やすしかありません。

貯金を増やすとしても、銀行に預けてもほとんど利息はつきません。株や債券、投資信託などの手段を使って増やすことも考えるべきです。しかし、「不労所得なんてけしからん」「株で失敗したらどうするんだ」と思われる方も多いはずです。

でも、銀行に預け入れたお金は企業などに貸し付けられるだけでなく、株や国債などでも運用されています。皆さんが受け取る利息の中には、株の取引で得た利益も含まれているわけです。

また、公的年金もその一部が株で運用されています。年金保険料がそのまま現金で積み立てられているわけではなく、株などで増やしてから年金として支払われます。公的年金の運用を行う「年金積立金管理運用独立行政法人」のウェブサイトでは、積立金がどんな形で運用されているかが公表されています。下のグラフのように国内の株だけでなく、外国株にも10%近くが振り分けられています。国内株とあわせれば20%を超えています。

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資産を減らしてはならない銀行や公的年金ですら株を用いているのです。株をうまく使えば、資産を安定して増やすことができるのです。もちろん株にすべてをつぎ込むのは危険なので、国内外の株や債券に分散して運用しなければなりません。専門的な知識が必要だと思われがちですが、プロが運用する投資信託を購入すれば簡単に運用ができます。

資産運用の方法については、いろんな書籍が出ています。また、ファイナンシャルプランナーなら個々の事情に合わせた最適な運用方法を提案することもできるので、やり方が分からない方はぜひご相談ください。

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2011年01月10日

長期的に収入を増やすためには自分への投資も必要です

貯金をふやす方法は3つあります。

  1. 支出を減らす。節約した分を貯蓄する。
  2. 収入を増やす。余裕ができた分で貯蓄する。
  3. 現在の貯金を育てる。うまく運用して貯蓄を殖やす。

支出の削減には限界がありますよね。いくら切り詰めても、衣食住にはある程度のお金が必要です。そこから貯金を増やしていこうとすれば、収入を増やすしかありません。

アフィリエイトやネットオークションなどで小銭をかせぐのもいいですが、もっと長期的な視点で収入を増やすことを考えたいところです。

特に20代の間は、せこせこと節約につとめるより、自分自身に投資することを考えた方がいいと思います。自分の仕事の専門性をより高めるために資格を取ってもいいでしょうし、あえて自分の専門とは別の分野の勉強をするのもいいでしょう。しかし、自己投資はしばしば自己満足に陥りがちなので、自己投資が自分にとってどのような意味を持つのか、つねに客観的な目でふりかえってみる必要があります。勉強するだけで満足するのでなく、それを自分の人生にとってプラスに変えていこうという意欲を持ち続けなければなりません。

定年後も働き続けるためには今から準備が必要

30代以降も自分の価値を高めることを考えるべきです。サラリーマンの場合、これまで60歳の定年までがんばって3000万円くらいの貯金(退職金を含む)をつくっておけば、後は年金で悠々自適の老後が待っている、なんて考え方もありました。しかし、これからは給料が上がらずに貯金を積み上げるのが難しく、もしかしたら退職金が出るかどうかも分かりません。さらに、年金の支給年齢が引き上げられたり、支給額が削減されるおそれもあります。

「60歳で引退して、後は優雅なセカンドライフ」なんて未来を描ける人は少数派です。定年の後も働き続けることを前提にライフプランを設計せざるをえません。その場合、自分の会社の仕事しかできないのでは、退職後に新しい仕事を得るのは大変です。なるべくはやい時期から、退職後の生活をどう設計するのかを考えたおいたほうがいいと思います。また、より良い条件を求めて転職するとか、定年を待たずに独立するという選択肢もあるでしょう。



2011年01月09日

貯金を増やすには、まず毎月の固定費を見直すところから始めよう

貯金をふやす方法は3つあります。

  1. 支出を減らす。節約した分を貯蓄する。
  2. 収入を増やす。余裕ができた分で貯蓄する。
  3. 現在の貯金を育てる。うまく運用して貯蓄を殖やす。

どれも重要なのですが、今日からでも始められるのが「支出を減らす」ことです。

しかし、無計画に節約すると生活が貧乏くさくなりがち。「待機電力を減らすためにコンセントを抜く」「晩酌のビールを一本減らす」みたいに、我慢を強いられるわりには節約の幅が小さいなんてことも。

まずは、「生活の質を落とすことなく、支出を削減できないか」を考えたいところです。たとえば、生命保険で必要以上の保険料を支払っているときは、保険の見直しによって月何千円もの節約になることがあります。住宅ローンをかかえている人なら、金利の安い住宅ローンに借り換えられないかを考えてみるべき。ローンを完済するまでの総支払額が数百万円も減ることがあります。また、最近は通信費の負担も増えていますが、携帯電話やインターネットプロバイダーの料金コースを見直してみましょう。月1000円の節約でも、1年続けば1万2000円ですね。

こうした固定費は支出の中で意外に大きな割合を占めていて、ちょっとした工夫で大きく節約することができ、しかも生活の質を落とすことがありません。試しに「食費」「住居費」「通信費」「水道光熱費」「教育費」のように毎月の支出の額を書き出してみることをおすすめします(1円単位でなく、おおざっぱな額でかまいません)。そして、エクセルのようなソフトにその額を入力して円グラフを作ってみると、何を削るのが効果的なのかが見えてきます。

晩酌のビールを発泡酒(もしくは第三のビール)に切り替えるのは、それからでも遅くはありません。