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2011年02月21日

自営業の人が領収書を必死に集める理由。実は日本ではサラリーマンの方が優遇されている

確定申告の季節です。

私はサラリーマンと自営業の両方を経験しているので、両方の良し悪しがよく分かります。サラリーマンのときは自営業がうらやましく思っていたし、自営業のときはサラリーマンがとても優遇されているように見えます。

よく税制の不公平を表す言葉として、クロヨン(九六四)とかトーゴーサン(十五三)なんて言葉があります。「サラリーマンの所得はほぼ100%捕捉されているのに対して、自営業や農林水産業は半分くらいしかなくて不当に税金を逃れている」と思っている方も多いはず。確かにサラリーマンの目からはそう見えますが、実際にサラリーマンから自営業へと身分を移した経験からすると、自営業はそんなに恵まれた立場ではありません。むしろサラリーマンの方がずっと優遇されています。

自営業の人はこまめに領収書を集めていますが、私もやはりきちんと領収書はもらって税金の申告に備えています。それを見てサラリーマンは「自営業はいいなあ。何でも経費にできるから」なんて言いますが、まずそこに大きな誤解があります。サラリーマンは領収書を経理に出すとそのまま立て替えた分が戻ってきますが、自営業は税務署に領収書を出したからと言ってその額が払い戻しされるわけではありませんよ(笑)。

その分だけ課税所得が減るだけで、わずかに税金が安くなるだけです。自営業は領収書を集めないと所得税がすごく高くなり、それに合わせて住民税や国民健康保険、介護保険も高くなるのです。生き残るためには領収書を集めないとダメな仕組みになっているのです。まあ、現金商売の自営業であれば売り上げを隠すことで税金を安くできますが、それは「脱税」なので完全な犯罪です。領収書を集める「節税」と話のレベルが違います。

また、「サラリーマンはいっさい経費が認められずに高い税金を払っている」というのは大きな誤解です。自営業の経費に当たる存在として、サラリーマンには「給与所得控除」という存在があります。給与の額に応じて一定の割合が無条件に経費として認められ、その分だけ税金が安くなっています。年収が500万円の人なら、年収の20%+54万円が給与所得控除です。154万円が経費相当として扱われています。

試しに給与所得控除を廃止して、みんな実際に支出した経費を積み上げて税金を申告するように制度を変えてみたらいいですよ。仕事に関連した支出として、154万円分の領収書を集められますか。新聞代やスーツ代だけでなく、飲みニケーションの費用まですべて含めても154万円を超える人はほとんどいないでしょう。サラリーマンに経費を認めるようにすれば90%以上のサラリーマンは税金が高くなります。

他にも、サラリーマンは会社が健康保険の保険料や厚生年金の掛け金を負担してくれています。自営業ならすべて自分で負担しなければなりません。特に国民健康保険の負担は大きく、自営業になったときは、「なんでこんなにたくさんの保険料を払うの?」とびっくりしました。家賃よりも保険料の方が高かったんですよ(そのころは月3万円のアパートでしたが)。

恵まれている順に並べるとすれば、「所得をちょろまかせる現金商売(ただし犯罪)」「税金が安くて会社が保険料を払ってくれるサラリーマン」「まじめに申告して税金を払っている自営業」の順番になります。サラリーマンは圧倒的に数が多いため、政治的にも票田として制度的に優遇されてきました。その象徴が国民年金における第3号被保険者の存在です。サラリーマンの妻は保険料を払わなくても年金を受給できますが、その原資は国民のすべてが負担しています。

自営業は税金の額を自分で計算するので、こうした仕組みについて敏感な方が多そうですが、サラリーマンだと会社がすべて計算してくれるので税制については鈍感なよううに思えます。サラリーマンの方もぜひ下の本などで仕組みについてしっかり理解するといいと思います。仕組みを理解することは、自分の利益を守ることにもつながります。

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