2011年02月23日

自営業が長期休業に備えるにはどうすればいい? 所得補償保険は本当に役に立つのか

自営業やフリーランスでいちばん怖いのが病気やケガで働けなくなることです。会社員の場合、たとえ働けなくても有給休暇がありますし、有給をすべて消化して会社から給与が支払われなくても健康保険から傷病手当金を受け取れます(月収の3分の2を最長1年6カ月)。長期の入院でもすぐに困るわけではありません。

しかし、自営業だとこうした保障がまったくなく、働けなくなると収入の道が絶たれてしまいます。私が会社をやめてフリーになったのは30歳くらいのときですが、そのときはまだ「病気で働けなくなる」なんてことを考えたこともありませんでした。怖さを感じるようになったのは、たぶん結婚してからですね。

長期入院時の生活を支える「所得補償保険」

では、どんな対策があるのか。まずは一部の損害保険会社がやっている「所得補償保険」です。病気やケガで働けなくなったとき、あらかじめ決められた額の保険金を支払うというもの。医療保険と似ているように見えますが、所得補償保険は「就業できない」ことが保険金支払いの条件になっています。具体的には商品ごとに細かい条件が付いていて、ある商品では入院していないとダメだけど、別の商品では自宅療養でも保険金が支払われるとか、いろいろ違いがあります。

現在、所得補償保険を提供しているのは、損保ジャパン、アメリカンホーム保険、日立キャピタル損害保険などがあります。この中で日立キャピタル損害保険は長期タイプを扱っていて、他の会社は保険金を支払う期間が1~2年間であるのに対し、日立キャピタル損害保険の「リビングエール」は最長65歳まで支払われます(http://www.hitachi-ins.co.jp/hci/file/livingyell_press.pdf)。

所得補償保険よりもまずは社会保険を活用する

「じゃあ、お前は所得補償保険に加入しているのか?」と思われるかもしれませんが、いろいろ考えた上で入っていません。まず、所得補償保険の保険金をもらうためのハードルがけっこう高い。たとえば、先ほどの「リビングエール」であれば、病気などで60日以上働くことができなかったときに初めて保険金が出ます。はたしてそれほど長期の入院(もしくは自宅療養)が必要になるリスクがどれくらいあるのか。

もし何年も療養が必要な病気であれば、社会保険の障害年金を受給することができるはずですし(現時点では年79万2100円)、病気の種類によっては介護保険を利用できるかもしれません。また、事故で障害を負ったのであれば障害者向けの自立支援給付の対象になるかもしれません。最悪のケースでは生活保護という手段もあります。

一方、数ヶ月程度の入院や自宅療養に備えるのであれば、貯金を積み上げる方が効果的なはず。また、ハードルが高い所得補償保険よりも医療保険の方が使い勝手がいいと思います。

そう考えると所得補償保険が活躍する範囲って思ったより狭いものになります。所得補償保険のメリットを説明するときに、米国の例が引き合いに出されますが(数千万人がこの種の保険に加入しているらしい)、米国は公的な医療保険が手薄であり、民間の保険に頼らざるを得ないという要因もあるのではないでしょうか。

もし自営業で国民年金の保険料を払っていないなら、今からでも未払分をさかのぼって払った方がいいです。国民年金保険料が未払いだと、たとえ障害を負っても障害年金を受給できないことがありますから。所得補償保険などを考える前に国民年金の保険料を払うべきです。

余裕があるなら所得補償保険に入ってもいいんですけどね。しかし、それくらいの余裕があるなら、十分な貯蓄を持っているはず。反対に余裕がない人であれば、医療保険の方が優先度が高いので、そちらを先に入っておくべきです。もちろん所得補償保険が絶大な力を発揮する場面もあるんでしょうけど、それ以前に備えるべきリスクがたくさんあって、それに上乗せする形で月数千円のコストを負担する価値があるのかどうか。

収入保障保険と混同してはいけない

なお、「収入保障保険」はまったく別の商品であり、こちらは生命保険のバリエーションの一つです。は残された遺族の生活を保障するために、一定期間(たとえば10年とか20年とか)年金の形で保険金を支払うというものです。商品名を見ると「補償」と「保障」が違いますよね。所得補償保険は病気などによって失われた所得を「補償」するのに対し、収入補償保険は遺族の生活費を「保障」する商品なのです。



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