2011年04月10日

地震で家が傾いたとき、どれくらいの傾きで保険金がでるのか? 明らかに傾いても補償されないこともある

地震による揺れや液状化で家が傾いた場合、どれくらいの傾きで地震保険が出たり、公的な支援の対象になるのか。以前に保険屋さんに「地震保険は1度でも傾けば支払われるよ」と聞いたことがありますが、具体的にどういう基準があるのか調べてみました。

まずは政府の被害認定基準があります(http://www.bousai.go.jp/hou/unyou.html)。内閣府のサイトの中に運用指針という資料があり(http://www.bousai.go.jp/hou/pdf/shishinall.pdf)、こちらの31ページ目に次の記述があります(木造住宅の場合)。

  • 傾斜が1/20以上の場合は当該住宅の損害割合を50%以上とし、全壊と判定する。
  • 傾斜が1/60以上1/20未満の場合は、傾斜による損害割合を15%とし、部位による判定を行う。
  • 傾斜が1/60未満である場合は、傾斜による判定は行わず、部位による判定のみを行う。

「部位による判定」とは、柱が折れたとか、壁や基礎にひびが入ったといった判定基準です。1/20や1/60とは下の図(比率は不正確です)を見てください。角度に直すと1/30は約2.86度、1/60は約0.95度です。

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要するに「傾斜が1/20(2.86度)以上なら無条件で全壊だが、それ以下なら半壊と見なされる可能性がある。傾斜が1/60(0.95度)に満たなければ、他に被害が見られないと半壊とも認められない」ということですね。

実際に傾斜を測るときは、先におもりを付けた1200ミリのヒモを垂らして、壁や柱の傾きを測ります。壁との間に60ミリのすきまができれば1/20、20ミリであれば1/60ということです。

1/20(2.86度)という傾きがどれくらいかと言えば、6畳間の長辺が2間(3600ミリ)と考えれば、部屋の両端で180ミリ(18センチ)も高さが違うことになります。これはどう見ても傾いてますね。ちょっと想像しただけで、そのまま住むのは無理だと分かります。

ここまで傾かないと全壊と認めないというのは厳しすぎるかなあとも思いますが、1/20まで傾かなくても他の被害(屋根や壁、基礎が壊れる)と合わせて判断することになるので、たぶん問題が起きることはないでしょう。むしろ傾きを測るだけで即座に全壊と判定できる実務的なメリットがあるのかもしれません。

しかし、私が問題だと思うのが1/60(0.95度)という傾斜です。6畳間の両端で60ミリ(6センチ)です。これでもかなりの傾きだと思いますが、他に被害がなければ半壊の基準にも達しない、もしかしたら損害なしと見なされる可能性があります。たとえば液状化でわずかに傾き、この基準に満たないときがどうなるか心配です。実際に、今回の地震で液状化が発生した千葉県では、認定についてさまざまな問題が発生しているようです(http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000001103310002)。

なお、1/20や1/60とは罹災証明を発行するときに用いられる国の基準であり、公的な支援を受けるときに用いられます。保険会社が地震保険の認定に使う基準は別であり、1/60未満でも半損や一部損として認められるかもしれません。先ほどの朝日新聞の記事でも、国の基準では問題ないとされた住宅が地震保険では全損と認定されたという事例が紹介されています。

こんな時、あなたの保険はおりるのか? こんな時、あなたの保険はおりるのか?
清水 香

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