2012年05月05日

ファイナンシャルプランナーに対する誤解のいろいろ。FPは金融商品や保険をどこまで理解しているのか?

「ファイナンシャルプランナーをやっています」と自己紹介すると、「聞きたいことがある」と相談を受けることがあります。でも、その内容を聞いてみれば、ファイナンシャルプランナー(FP)の役割をみんな誤解しているんじゃないかと思うこともしばしばです。

(1)FPはもうかる金融商品を知っている

まずは「FPは金融の知識が豊富で、お金の増やし方を知っている」という誤解です。まあ、基本的なことは理解していますが、「確実にもうかる金融商品」なんて少なくとも私は知りません。どんな金融商品であっても、リターンを得るためにはそれに応じたリスクを引き受けなければならないため、「これを買えば確実にもうかる」というのは詐欺の可能性が高いです。

反対に「これをやってはいけない。損をする可能性が高い」ということは分かります。たとえば、金利の高さにひかれて、豪ドルとか南アフリカランドの外貨預金に貯金の大部分をつぎこむとか。

私の場合、「老後の生活資金を貯めたい」といった目的で、比較的安全な運用方法についてアドバイスすることはできます。しかし、「投資でお金を増やして早期リタイア」といったリクエストにはお答えできません。「3年後にまとまった教育資金が必要なので、それまで可能な限り増やしたい」みたいな話もかなり難しいです。

まあ、資産運用を専門にやっているFPさんもいらっしゃるので、そういう方なら良い方法をご存じかもしれません。それでも100%確実にもうかる方法があるとは思えません。そんな方法があるなら私が真っ先に相談に行きます。

(2)家計見直しの相談ができる

よくテレビで「家計のムダをFPが指摘」みたいな番組をやっています。家計見直しはFPの重要な業務の一つですけど、これができないFPが多いのが実情です。

先日、FPの勉強会で聞いてみたところ、「自分では家計簿をつけていない」というFPが意外に多いのです。普段から家計簿を付けていないと、食費や光熱費がどれくらいかかるか、感覚をつかめません。だから、人の家計についてアドバイスができるはずもありません。

そこでどうなるかと言えば、「食費や光熱費費が多いような気がしますね。ここを削りましょう」なんて当たりさわりのないアドバイスでごまかすことになります。また、保険の代理店を兼ねているFPであれば、「保険料が節約できますよ」みたいに自分の土俵に無理矢理引きずり込みます。

私の場合、パソコン誌のライターもやっているので、通信費については詳しいです。だから、「携帯電話をこのプランに変更すれば、月の通信費をこれだけ節約できる」と具体的な提案までできます。しかし、そうした提案ができるFPが他にたくさんいるとは思えません。「通信費が高いので見直してください」程度の提案しかできないはずです。

要するに「家計見直し」とは簡単なように見えて難しく、ここをきちんとできるのはFPの中でも一部に限られると思います。

(3)節税の方法を教えてもらえる

税金方面は税理士さんの仕事です。税理士の資格を持たない人が個別の税務相談を受けることは税理士法に抵触します。もちろん税務書類の作成を代行することもできません。

FPができるとすれば税金の一般的な話だけです。「所得税はこういう仕組みになっていて、ここをこうすれば所得税が安くなる。それに連動して住民税や国保保険料も安くなる」みたいな一般論ならお話しできます。

だからといってFPに相談する意味がまったくないかと言えば、話をうかがった上で必要があれば税理士を紹介することもできます。また、生活安定という視点で言えば、税金だけではなく、保険や年金、家計見直しなどの問題もからんでくるわけで、FPであれば総合的なアドバイスができます。その中で必要であれば、税理士や社会保険労務士、行政書士などの専門家を紹介いたします。

(4)保険の見直しができる

保険の見直しは難しい作業です。生命保険を見直すとき、(1)必要な保障額を算定して、(2)適切な保険を選ぶ、という2つの段階があります。

まず(1)の保障額算定をどこまでしっかりやるのか。多くの保険屋は「35歳男性で子ども一人なら何万円ぐらい。みなさんこれくらいの保険に入られてますよ」くらいの大ざっぱなところで済ませてしまいます。FPであれば収入や支出の見通しを立て、死亡時の給付(死亡退職金や弔慰金、遺族年金など)を見積もった上で必要保障額を求めたいところ。この基本的な作業すらやらないFPも多いようです。

それより難しいのは(2)の保険選びです。最近は来店型のショップが増えていますけど(そしてスタッフにFP資格を持つ人も多い)、多くの保険会社の商品を扱っているので、その中から自分に最適な保険を提案してもらえるように思えます。でも、何十社もの保険をすべて理解するなんてよほど勉強熱心な人でも難しいはず。これは推測ですが、あらかじめ店ごとに売りたい保険がいくつか決まっていて、それに当てはめていくケースが多いのでは。

また、保険代理店は契約した金額に応じて手数料を受け取ります。来店型ショップであれば従業員の給料や店舗の維持費をかせぎだすため、絶対に件数や金額のノルマがあるはずです。そこでは「あなたには保険は不要です」「これほど大きな保障は必要ありません」といった提案をしにくいように思えます。

ならばFPの有料相談が良いかと言えばそれも微妙です。おそらく前段の必要保障額はしっかりと計算してくれるでしょう。しかし、後段の保険選びとなると、FPごとの力量の差が出てくると思います。普段から保険を扱っていないFPであれば、具体的な保険を提案することができず、最近流行のネット生保を紹介してお茶をにごすなんてことになりかねません。ネット生保は安いというイメージがあるんですけど、条件によっては外資系や損保系の生命保険の方が安いこともあります。

ベストなのは保険に強いFPを見つけて相談することです。異論はあると思いますが、「複数社の保険を扱う代理店の中で、有料相談も受け付けているFP」が外れが少なそう。まあ、相談料を受け取っておき、手数料を高い保険を押しつけるという最悪のパターンも考えられるわけですが…。

FPの役割はかかりつけのお医者さんと同じ

「それならば、FPの存在意義ってどこにあるのか」という話になります。独立系FPは「かかりつけの町医者」と同じだと私は考えています。

町医者はガンとか心臓病とかを直接治療することはできませんが、症状によって専門医を紹介することができます。また、深刻な病気でなければその場ですぐに対応することができますし、生活指導のようなこともできるでしょう。患者の側からしても、いきなり大病院の門をくぐるよりは、近くの町医者を訪ねる方が楽に違いありません。

FPについても、一人ですべての問題を解決することはできません。それでも、どこに問題があるかを突き止めて、それに応じて専門家を紹介することができます。また、簡単な問題であればそこで解決に向けたアドバイスができます。

「将来に対して不安がある」のような漠然とした相談でもかまいません。話をうかがうなかで問題点を明らかにしていけば、それだけで不安を軽減できるはずです。人間は正体が分からないものにより強い不安を抱くものであり、まずは問題点をはっきりさせるところから始めなければなりません。そのお手伝いをするのがFPの役割のひとつだと思っています。

まあ、ここまで書いてきた内容はあくまで私が考えるFP像であり、他のFPだと別のことを言うかもしれません。



トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by ほそぶち   2012年06月19日 12:27
4 会社員には馴染みのないことなので、とても勉強になります!
また、勉強会にも参加させて頂く予定ですので、
よろしくお願いします。
2. Posted by 管理人   2012年06月19日 15:22
ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
勉強会もよろしくお願いいたします。
がんばって準備します。

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。