2012年05月11日

初めての裁判傍聴記。イメージしていた裁判と実際の裁判はまったく違う

最近、時間に余裕があると裁判所に行って、裁判の傍聴をしています。きっかけは、借金コンサルタントの肩書きを持つ吉田猫次郎氏の著書「その借金なんとかしましょう」の中に次のような一節があったからです。

Q:カード会社から訴えられ(中略)、口頭弁論期日呼び出し状というのが送られてきました。弁護士をつけないで大丈夫でしょうか?
A:大丈夫です。心配なら、期日前に一度、同裁判所の指定場所に下見に行ってみてください。傍聴席で他の人たちの裁判の様子を見ることができます。だいたいカード会社の裁判というのは、流れ作業的に5分か10分刻みに行われている場合が多く、あまりのあっけなさにカルチャーショックを受けることでしょう。(後略)

やはりファイナンシャルプランナーの看板を掲げているなら、民事訴訟がどういうものかを自分の目で見ておいた方がいいだろう。そう考えて裁判所へ行ってみる気になったのです。

やはり目的は、損害賠償請求のような民事訴訟がどんなものかを確認すること。裁判所の受付には、その日に開かれる裁判を一覧にした「開廷表」という冊子が置かれています。その中から「損害賠償請求」「過払い金返還」などの裁判を探して傍聴することにしました。

初めて法廷に足を踏み入れるのは、当事者でなくても緊張しますね。開廷前でしたが傍聴席には何人かスーツ姿の人が座っています。私も目立たないように端の席に座ったのですが、裁判長が入ってくると傍聴席に座っていた人がみんな立ち上がり、柵の向こうの原告席と被告席へ移動するではありませんか。なんとみんな裁判の関係者で、気楽な傍聴人は私一人です。それからいくつか民事の裁判を見ましたが、関係者以外が傍聴していることは少ないようです。

こうして裁判が始まったわけですが、その内容にびっくりしました。裁判と言えばドラマで見るような刑事裁判をイメージします。でも、民事訴訟というのは普段やっている仕事の打ち合わせみたいなかんじです。お互いに証拠の書類を出し合って、その内容を確認するのですが…。

「書類のコピーが不鮮明で数字がよく分かりません」
「コピーしなおします」
「証拠の××が足りないようですが」
「今準備中なので次回までには用意します」
「では次回は×月×日の午前でどうでしょう」
「さしさわりが」
「×月×日は?」
「さしさわりが」
「そうなると連休後になってしまいますね。×月×日はどうですか」
「はい。大丈夫です」
「それまでに残りの証拠の提出をお願いいたします」

こんなかんじのやりとりばかりで、傍聴している側は何をやっているのかさっぱり分かりません。証拠はほとんど書面でやりとりされるようで、第三者がそれを見ることはできず、まったく内容を把握できないのです。

面白かったのは、まさに上で引用した本の内容のとおりに進むところ。1件あたり5分くらいで終わってしまいます。そのたびに傍聴席と原告/被告席の間で人がゾロゾロと移動します。緊張感などまったくありません。前で裁判が進行している間も、次の裁判の関係者が大きな荷物をかかえて傍聴席に入ってくるので、厳粛な雰囲気なんてまったくありません。

そういうわけで、裁判を傍聴した経験がない方は、ぜひいちど裁判所を訪れてみることをおすすめします。何かの拍子に裁判の当事者になるかもしれず、そのときに裁判がどういうものかを知っておくことは大きな意味があると思います。

しかし、刑事事件の裁判は雰囲気がまったく違います。初めて傍聴した刑事裁判は、振り込み詐欺の実行犯の判決でした。「主文。被告人を懲役8年に処する。未決勾留日数中180日をその系に算入する。これから判決理由を述べます。長くなるのでそちらに座ってください」というようにドラマとまったく同じです。

たまたま入った法廷がこれでした。ドラマと違って生で見ると、人ごとではありますが、判決の重さをひしひしと感じます。目の前にいるこの人が、これから何年間も服役することになるのか。裁判が終わると、被告人は手錠をされて退廷していきます。

もちろん「悪いことをするんじゃないな」と思いましたが、それよりも「裁判員として判決を作る側に回ったとき、自分が正しい判断ができるのだろうか」という思いが強かったです。裁判員制度なんてほとんど興味はなかったけど、その意味を真剣に考えるきっかけとなりました。

裁判所に行くなら、民事と刑事の両方を傍聴することをおすすめしたいです。


猫の手、貸します その借金、なんとかしましょう 猫の手、貸します その借金、なんとかしましょう
吉田 猫次郎

朝日新聞社 2004-03-19


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法廷傍聴へ行こう 法廷傍聴へ行こう
井上 薫

法学書院 2005-10

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