消費税に対する大きな誤解。「益税」は世間で考えられているほど大きな額ではない9月21日に勉強会「フリーランスのための『家計見直しの極意』」を開催します

2012年08月20日

フリーランスをやめて会社勤めに戻ると年金はどうなる?

フリーランスにとって「国民年金基金」「個人型 確定拠出年金」「小規模企業共済」は、節税しながら老後の備えができるという強力なツールです。

しかし、将来もずっとフリーランスをやりつづけるかどうかは分かりません。もしかしたら、何年か先には会社づとめをしているかもしれないし、自分で会社を作ってその役員におさまっているかもしれません。

そんなとき基金や共済などはどういう扱いになるのか。また、何年か先に会社づとめをする可能性が高いときは、基金や共済などに加入すべきかどうか。

国民年金基金

まずは「国民年金基金」から見ていきましょう。会社員や会社役員になると、原則として「厚生年金」に加入することになります。すると「国民年金基金」の加入資格を失い、脱退することになります。

脱退時にそれまでの掛金が返ってくることはありません。60~65歳以降に加入期間と口数に応じた年金を受け取ることになります。数年で脱退したときはスズメの涙くらいの年金になるかもしれませんが、払った分は何らかの形で返ってきます。年金を受給する前に亡くなったときは、遺族に遺族一時金が支払われます。

個人型 確定拠出年金

入った会社の年金制度によって違ってきます。

会社が「企業型 確定拠出年金」の制度を用意しているなら、その会社の企業型年金に移管されます。勤め先で移管の手続きをとることになります。運営管理期間が変わることになれば、取り扱いされる金融商品も違ってきます。それまで積み立てた金融商品はいったん売却して、移管先で取り扱う金融商品を購入し直すことになります。

会社が「企業年金」を用意している場合、個人型 確定拠出年金の加入資格を失います。新たに掛金を支払うことはできませんが、年金資産(それまでの掛金で購入した金融商品)の運用を続けることはできます。そして、60歳以降に年金や一時金として受け取ることになります。なお、「期間が3年以下」「資産額が50万円以下」などの条件を満たしたときは、年金資産を脱退一時金として受け取ることを選択できます。

会社が特別な年金制度を用意していない場合(要するに厚生年金だけの場合)、引き続き個人型 確定拠出年金に加入することができます。ただし、掛金の上限は月2万3000円になります(個人事業主は月6万8000円)。

小規模企業共済

通常の会社員になるのであれば、小規模企業共済の加入資格を失います。「個人事業を廃業した場合」に該当するため、それまで払い込んだ掛金と加入期間に応じた「共済金A」を受け取ることになります。

受け取る共済金には税金がかかるところに注意してください。ただし、共済金は「退職所得」の扱いになるので、月3万円程度の掛金なら税金はほとんどかからないでしょう。月4万円を超えていたら税金がかかってくる可能性があります。それでも、加入期間中に受けた節税メリットの方がずっと大きいでしょう。

次に会社を設立してその役員になった場合です。小規模企業共済の加入資格は「商業(卸売業・小売業)、サービス業を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員」となっています。この範囲におさまるのであれば、引き続き共済に加入し続けることができます。ただし、資格変更の届出が必要です。

短期でも加入する価値はあるか

短期の加入であっても、けっして掛金が無駄になることはありません。なんらかの形で戻ってきます。

また、加入期間中は掛金がすべて所得控除の対象なので、所得税/住民税が大幅に安くなります。課税所得が500万円であれば、所得税と住民税を合わせた税率は30%です。掛金の30%分の税金が安くなるわけで、老後の生活資金を準備する手段としては最適です。

小規模企業共済については、掛金の払込期間が1年未満だと掛金を下回る額しか受け取れません。また、数年後に確実に会社勤めに戻ることが確定していて、なおかつ売り上げが少なくて節税のメリットもない場合は、わざわざ基金や共済に加入することもないでしょう(加入や脱退の手続きも面倒ですし)。こうした例外を除けば、2~3年という短期であっても加入する価値は十分にあると思います。



トラックバックURL

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

消費税に対する大きな誤解。「益税」は世間で考えられているほど大きな額ではない9月21日に勉強会「フリーランスのための『家計見直しの極意』」を開催します