2012年10月22日
「国民年金基金」「確定拠出年金」「小規模企業共済」は老後の備えだけでなく、生命保険の補完にもなる
フリーランスが老後の生活資金を用意する手段として「国民年金基金」「確定拠出年金(DC)」「小規模企業共済」があります。この加入者が年金や共済金を受け取ることなく亡くなってしまった場合、遺族は一時金を受け取ることができます。つまり、これらの制度は自分の老後だけでなく、生命保険のように残された家族を守るためにも役立つわけです。
先日、「今、私が死んだら一時金はどれくらいになるのだろう」と調べてみたら400万円を超えることがわかりました。ちなみに基金に加入したのは10年ほど前、DCと共済はそれぞれ4年くらい前です。私は生命保険に入っていませんけど、加入しているならその内容を見直してみた方がいいかもしれません。
各制度の一時金についてもう少し詳しく見ていきます。制度ごとに受け取れる額や税金の扱いに違いがあります。
まず、「確定拠出年金」の加入者が亡くなった場合、「死亡一時金」が支払われます。死亡一時金はその時点で積み立てられた運用資産がすべて支払われます。遺族からの請求によって金融商品が売却され、現金化した上で支払われます(金融商品のまま受け取ることはできません)。この死亡一時金は「みなし相続財産」であり、生命保険金と同様に相続税の課税対象となります。
「小規模企業共済」の加入者が亡くなった場合、「共済金A」が支払われます。これは加入者が事業をやめたときに受け取る共済金と同じ額です。税法上では死亡退職金と同じ扱いであり、「みなし相続財産」として相続税が課税されます。
最後に「国民年金基金」の加入者が亡くなった場合、「遺族一時金」が支払われます。遺族一時金の額は加入時と死亡時の年齢によって決まってきます。残念ながら支払った掛金の全額が戻ってくるわけではありません(http://www.npfa.or.jp/about/system/temp.html)。現時点で遺族一時金をいくら受け取れるかは、加入している基金に問い合わせると教えてもらえます。
他の2つの制度とは異なり、国民年金基金の「遺族一時金」は非課税です。受取人は所得税や住民税、相続税などを支払う必要はありません。また、国民年金基金には「保証期間」があり(B型を除く)、年金の受給開始後であっても保証期間の未経過分については遺族一時金を受け取ることができます。
確定拠出年金 | 小規模企業共済 | 国民年金基金 | |
名称 | 死亡一時金 | 共済金A | 遺族一時金 |
受取額 | 積み立てられた運用資産を現金化した額。運用成績では掛金を下回る可能性も | 廃業時に受け取る共済金と同じ額。原則として掛金を下回ることはない | 加入時と死亡時の年齢、および口数によって決まる。掛金を下回る |
税金 | 相続税が課税される | 相続税が課税される | 非課税 |
「一時金を受け取る権利があるのは誰か?」については、相続の順位とは違っているので注意が必要。制度ごとに順位が決まっていて、先順位者をこえて一時金を請求することはできません。
しかし、確定拠出年金だけは、生命保険と同じようにあらかじめ受取人を指定できます。無指定の場合は配偶者が一時金を受け取りますが、子や父母、兄弟姉妹が受け取るように指定することも可能です。加入時の申込書には受取人を指定する欄がありませんので、運営管理機関に指定方法を問い合わせてください。
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