2013年02月17日
フリーランスと会社員とどっちが恵まれている?
「フリーランスがサラリーマンより不利だという誤解を解いてみた」(http://d.hatena.ne.jp/freestrong/20130127/1359234356)という記事があることを教えてもらいました。
フリーランスと会社員とどちらが恵まれているのか。上の記事にあるとおりに、確かに制度を熟知していれば、フリーランスの方が有利になることがあるかもしれません。でも、「フリーランス最強」というのは違うと思います。絶対的にフリーランスが有利とは言えず、やはり一般的には会社員の方が恵まれています。
フリーランスのメリットを活かすのはけっこう大変
税金については、フリーランスも節税によって税金を安くすることは可能です。いろんなテクニックを駆使すれば、所得税や住民税はゼロにすることも不可能ではありません。でも、そのテクニックがつねに有効とは限りません。たとえば、家族を従業員として給与を支払えば課税所得を減らせますが、これは所得のない家族がいて初めて使える方法ですよね。他にも会社を作ると節税できると言われますが、売り上げがある程度は大きくないと有効ではありませんし、売り上げが見込みより大きく増減するとかえって税金が増えてしまうことがあります。
一方、会社員であれば無条件に「給与所得控除」が認められます。給与の一定割合が経費として認められ、その分だけ課税所得が小さくなり、税金も安くなります。こうなると、どちらが恵まれているかは、個人の好みということになりそうです。自分ですべてをコントロールしたい人ならフリーランスが合っているでしょうし、節税対策などを考えるのが面倒なら会社員の方がいいでしょう。
年金や保険についてはどうなのか。会社員は厚生年金に強制加入であり、しかも年金を金融商品として考えた場合、厚生年金はそれほど魅力的なものでないことは事実です。それに比べて、フリーランスなら自分が好きなように制度を組み合わせて利用できるので、自分ですべて管理したい人には向いているでしょう。
しかし、会社員は厚生年金だけではなく、そこに上乗せする形で企業年金を用意している会社が少なくありません。最近では企業型の確定拠出年金を導入する会社も増えつつあります。さらに病気で長期休業したり退職することになっても最大1年半は給与の一定額が保証されますし(健康保険の傷病手当金)、会社によっては医療費がかかったときに補助がでることもあります。また、業務にかかわる事故や災害で休業をしいられるときは治療費を自己負担する必要はなく、休業中の給与も保証されます(労働者災害補償保険、いわゆる労災)。他にも雇用保険(いわゆる失業手当)はフリーランスにとってはうらやましい制度です。
フリーランスでも公的な制度や民間の保険などを組み合わせればいいのですが、会社員と同じレベルの保証を得るのはかなり大変です。そもそも年金や保険は損得だけで割り切れるものではなく、安心という要素も強いので、その点で一般的には会社員の方が恵まれているように思います。
どっちが恵まれているかは好みで変わってくる
ここまで長々と書いてきたことをひっくり返すようですが、フリーランスと会社員のどちらが有利かを比較することに余り意味はないと思っています。その人の性格や考え方、嗜好によって、どちらが好ましいかは違ってきます。しばられるのが嫌いな人はフリーランスが向いているでしょうし、平均的な安心が欲しいなら会社員がいいでしょう。
でも、「会社をやめてフリーランスになりたいけど、保障がなくなるのは不安。だから、フリーランスとしてやりたいことがあるのにチャレンジできない」という方には、「どちらかが一方的に有利ということはなく、制度の使い方によってはフリーランスの方が有利になることもある」ということをぜひ知っていただきたいです。一度きりの人生なのでやってみたいことをやってみればどうですか?(もちろん勝算があればの話ですけど)
一方、すでにフリーランスとして仕事をしている方は、さまざまな制度を利用して自衛をはかるしかありません。何もしないのと対策をするのとでは税金や保険料が年間数十万円という単位で違ってくることがあります。かりに一年間で20万円を節約できるとすれば、10年で200万円、20年で400万円の差が生まれてきます。
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