フリーランスが将来に備えて資産運用するためのベストな方法とは配当控除の落とし穴。フリーランスが確定申告で配当控除を使うとかえって負担増になることも

2013年02月18日

確定申告シーズンの今からできる節税テクニック

今年も確定申告の季節がやってきたわけですが、この時期になるまで何もせずにほったらかしという方も多いのではないでしょうか。そして、売り上げと経費を計算してみると、意外にもたくさんの利益が出ていて、税金の額にビックリなんてこともあります。普通は源泉徴収されていた税金が戻ってくるものですが、利益が多いと反対に税金を支払わなければならないのです。

こんな計算は去年のうちにやっておかないとダメです。年度が替わってからだと節税もくそもありません。去年のうちに大まかな計算だけでもしておけば、予想外に利益が大きくなったときは必要な買い物を先にしておき、利益を圧縮して税金を安くするなんてこともできます。

年度が替わってからできることといえば、見過ごしていた経費を掘り起こすことぐらいでしょうか。たとえば、自宅で仕事をしているフリーランスであれば、家賃や光熱費、電話代などの一部を経費とすることができます。もし今まで経費として扱ってこなかったのであれば、今回から経費として計上しましょう。他にもこのように経費として扱えるものがないかを探します。

あともう一つ、収入がない家族や親戚を扶養親族として申告するという手もあります。もっとも身近なのが、年金暮らしの親や祖父母でしょう。70歳以上で所得が一定以下の場合、扶養控除の額は58万円(同居)、48万円(非同居)です。それだけ課税所得が小さくなりますので、所得税&住民税の税率が20%であれば、税金が11万6000円(同居)、9万6000円(非同居)も安くなります。これは扶養親族が一人の場合で、もちろん複数人だとそれだけ控除額が大きくなります(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm)。

どんな人を扶養親族として扱える?

扶養親族として扱えるかどうかの目安は、(1)生計を一にしていること、(2)所得金額が年38万円以下であること、の2つです。

まず「生計を一にしている」ですが、自分と同居している必要はありません。生活費などを援助しているのであれば、生計を一にしていると認められます(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180_qa.htm)。扶養の実態がないのに扶養親族として申告した場合、税務調査に入られたときに問題になるかもしれませんね。しかし、確定申告の段階では、仕送りなどの事実を証明する書類などを添付する必要はありません。そういうことです。

次の条件、「所得金額が年38万円以下」というのは収入が38万円ということではありません。年金暮らしの65歳以上の場合、年金控除として120万円が認められるため、年金収入が158万円以下であれば扶養親族として扱える可能性があります。国民年金しかもらっていないなら間違いなくこのラインに収まります。厚生年金だとちょっと微妙ですね。遺族年金は非課税なので、もらっている額が多くてもカウントされません。たとえば、お父さんが先に亡くなり、お母さんが国民年金+遺族年金を受給しているとき、所得としてカウントされるのは国民年金の部分だけです。

年金収入の額は「公的年金等の源泉徴収票」という書類が今年1月に送られてきているはずです。そこに記載されている「支払金額」の欄を見てください。ここが158万円以下であれば扶養親族と扱えるかもしれないので、税務署にぜひ問い合わせてみてください。

なお、扶養家族として扱えるのは「6親等内の血族及び3親等内の姻族」なので、自分の親や祖父母はもちろん、おじさん、おばさん、きょうだい、いとこ、はとこ・またいとこでも大丈夫です(年齢によって控除の額は違ってきますけど)。手続きは簡単。確定申告書の裏に扶養親族の名前と続柄、生年月日を記入するだけです。

注意点もいくつかあります。たとえば、お母さんを扶養親族として申告したいなら、お父さんと話をつけておきましょう。どちらか一方しか扶養控除を受けられないのです。もし両方で扶養親族として申告すると、間違いなく税務署から問い合わせがきます。

また、今までお母さんがお父さんの扶養親族となっていたのを、自分の扶養親族として申告する場合、お父さんの税金が高くなってしまう可能性があります。おそらく現役で働いている人の方が所得が多いので、あなたの扶養親族にした方がトータルで見るとトクになるはずです。でも、そのあたりは事前に家族の間でしっかり話し合っておきましょう。勝手にやると後でトラブルになります。

税金の話はいろいろ難しく、ここでは制度の一部しか紹介していません。思わぬところに落とし穴があるかもしれないので、正確なところは税務署に問い合わせるなり、税理士に相談してみてください。


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岩松 正記

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